GREETING

在宅介護がまだなかった看護師時代、患者さんは退院後どのような環境で、どんな生活を送られるのだろうと考えていました。医療従事者にとっては当たり前の場所である病院という特異な環境は、患者さんにとって人生でそう体験することのないイレギュラーな場所です。当時「退院指導」と言う名のもと患者さんの退院後の生活指導を行っていました。患者さんの立場で戻っていかれる環境を想像し、退院後の生活が思い描けていたら、もっとその方に寄り添った退院指導が出来ていたかもしれません。

看護師として働いたのち、10年ほど家庭生活を送りました。この10年間は困難な毎日の連続でした。実父が癌で早世したこと、子どもを授かり母親業に行き詰まりながら先の見えない今を嘆いていました。そんな自分を情けなく感じながら、ただひたすら一所懸命過ごした時間がひと段落した頃、介護保険制度が始まりました。そして、看護師時代の疑問がそのまま私の使命となりました。

生まれ育った町で在宅介護の現場でご支援する仕事にめぐり逢いました。いろんな方の人生の最期の場面に携わらせていただき、自分も再び笑顔で家族と暮らす人生を歩みはじめた時、誰もが笑って暮らせる豊かな暮らしとはどういうものなのかと考え「健やかに生きる」という価値にたどり着きました。そして、病気発症予防的な健康づくりを支援し実践するために保健師になることを決意しました。

市役所等で通算14年間、主に人口11万人の町の行政保健師として活動し、うち4年間を市役所職員の健康管理業務に従事いたしました。

保健師の仕事は、地域で暮らす全ての方が自分らしく暮らせるようサポートすること。中でも私は「働く世代の健康管理」の必要性を実感しています。要介護となる前の予防活動(介護予防)は働く世代への働きかけこそが重要だと思いました。

4年間の産業保健活動の中で働き盛りの早世を目の当たりにしました。人生100年時代が到来しています。その人らしく生きることは、その人らしく働くことだと実感しています。病気になってから健康のありがたみに気づくこともあると思いますが、その時点で後悔される方が多いのも事実です。発症してから後悔することはご本人も、また家族にとっても痛みを大きく伴い悲しみに覆われます。

また、働く世代のメンタルヘルスは産業保健においての大きな課題です。働くことが原因で心が病んでしまい悲しみの毎日を過ごすのはどんなにやりきれないことでしょう。別の側面から見ると、メンタル不調者のいる職場の生産性の低下は明らかです。誰もが働きやすい職場環境の実現こそが産業保健活動の大きな課題であり、元気に働ける会社の未来は明るいと考えています。

行政機関で地域保健と産業保健を経験させていただいた私が出来ることは、働く世代に対しての予防活動です。特に現在まだ産業保健の手が行き届いていない中小企業に対し、会社ならびに従業員が元気であること、そして元気よく働けることを健康面からサポートすることが最重要の課題であると思いました。働く人が元気いっぱい自分なりに楽しんで生活をする、その結果この町の元気を今よりもっと高くすることを使命に、私は開業保健師として2020年4月に独立いたしました。

お仕事をしていて疲れたら働くオトナの保健室をのぞいてみてください。泣きそうな時にも思い出してください。ここは元気を回復できる場所です。

2021年9月 代表 木村ゆかり

木村 ゆかり
ジーアップクリエイトラボ代表

名古屋市内の病院で看護師として勤務後、出産育児のため退職

土岐市内の居宅介護支援事業所で介護支援専門員(ケアマネージャー)として3年間勤務後、地域看護学専攻科で履修

多治見市役所などで14年間保健行政に従事、うち4年間を市役所職員の健康管理業務に従事

2020年4月にジーアップクリエイトラボを屋号とし開業、現在プロジェクト働くオトナの保健室を運営している

■資格など

看護師、保健師、第一種衛生管理者

介護支援専門員

産業カウンセラー、心理相談員、NLPプラクティショナー

健康経営アドバイザー、睡眠健康指導士上級、両立支援コーディネーター